花が咲く頃にいた君と

見えない動き

思考と真理の深い深い底


そこに眠る記憶は、



まだあたしが“普通の女の子”になる前のもの。


忘れようか、思い出にしとこうか、


迷ってる間に、過去は降り積もって


その記憶は、深く深くに紛れてしまった。



“結女ちゃんの目、怖いよ”

“もっと笑いなよ”

“結女ちゃんはこれからも生きてくんだから”



あたしの名前を呼んだ唯一の女の子。



もう名前も顔も覚えてないのに



その笑顔はぼんやりと覚えてる。



多分、あたしを黒猫みたいと言ったのはその子



麦わら帽子のよく似合う、女の子。