≡イコール 〜霊能力者へ 『霊視1』より~
釣り仲間が さっきヒカルを見たという

テトラポットに行ってみた


『おらんな~…どこに行ったんやろうか』


郁夫がやって来た道を通らないと

陸地には戻れない


グレーのテトラポットの上を目を凝らして見るが

赤いTシャツを着た ヒカルの姿は見あたらない


『まさか!!?』


郁夫は不安になり テトラポットの先に広がる海を見渡した


『テトラポットは突然波が来て人をさらう

やから 行ったらいかんとあれほど言ったとに!!』


ハラハラしながら 少しずつ海の方々に視点を変えていくと

海の表面になにやら 赤い『モノ』が動いていた

波の抑揚で 赤い『モノ』が見え隠れしている

郁夫は 『それ』を見つけたのと

ほぼ同時に 海へ飛び込んだ 

ゆっくり目を凝らして確認しているヒマはない


『間違いないヒカルだ!』


ヒカルは まだ表面にいる

まだ間に合う!!


「ハァッ ハァッ」


郁夫は 必死で泳いだ

海で育った郁夫は 泳ぎには自信があった

郁夫はグングン赤い『モノ』に近づいていく


『ヒカル…! ヒカル…!』


郁夫は 今自分が出せる精一杯の力を出して

赤い『モノ』の方へ泳いでいった


郁夫がやっと 赤い『モノ』の近くまできた時

それは『ヒカル』と確認できた



ヒカルは 水を沢山飲んだのか

郁夫が到着したと同時に

沈みかけていた


「行かすかーーーっ」


郁夫は 力一杯ヒカルを引き上げた

ヒカルは 唇が真っ青になり ぐったりしている
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