雪に消えたクリスマス
私は、創真が置いていったワインのボトルに目を移す…。
「ねぇ、玲…。これ、二人で飲んじゃおうか?」
 私の申し出に、玲はニッコリと快く応じる。
「…でも、いいんですか?せっかく創真君が、麗のためにプレゼントしてくれたモノなんでしょ?」
 言葉とは裏腹に、すでにグラスを差し出している玲。
「いいのよ!あんな浮気者!今頃、天使の女の子のお尻でも追いかけているんだから…」
 玲は、私の言った意味が分からなかったのか、少しの間、首を捻っていたが、グラスにワインが注がれると、嬉しそうな顔で、注がれたワインの香りを嗅ぐ。
「…これはアイスワインですね♪中々の上物ですよ、これは…」
 そう言うと、玲はグラスを私のグラスに軽く当てる。
 キンッという、ガラスの透明な音が、空気を震わした。
「メリー・クリスマス!…麗」
「えッ?」
 私は、思わず玲に問い返すが、そんな私に、玲は自分の腕時計を指差した、
 時計は、午前0時を回っていた。
「あ、今日は、もう25日か…。じゃ、メリー・クリスマスだね♪」
 今度は私から、玲のグラスに自分のグラスを当てた。
「メリー・クリスマス=玲♪」
「メリー・クリスマス=麗!!」
 そして最後に、心の中でこう呟いた…。

「メリー・クリスマス!創真…」 
 その呟きに、返ってくる言葉は勿論なかったが、私の心の中だけに、創真がソッと返事をしてくれた気がした…。


「メリー・クリスマス…麗」
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