セピア
 程なくしてアツアツのキリタンポを食べたせいか次第に体中がほっこりとあったまってきた。
そして小振りの鉄製鍋の中で程良く煮えていたアツアツのキリタンポ鍋を食べ終える頃、

「ねえ花梨ちゃんまだ陽が高いからこれから街を散歩しに行きましょうか?」
 と李が言った。

  そう言われて花梨は無意識にふっと壁に掛けてある時計をそっと見た。
するとなんと壁には花梨がまだ田舎に住んでいた頃に見た昔懐かしいモダンテイストなぼんぼん時計が掛(か)っていた。
 その時計を見ると時計の針は午後の3時近くを指している。

 中の雰囲気がこんな感じならば外はどんな風になっているのだろうか?と段々に興味が湧いてきた花梨だったので透(す)かさず
「連れて行って下さい!」
 と、ほんのりとりんごのように赤く火照(ほて)った頬を両手で包み込むような仕草をして花梨は言った。
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