セピア
 それにこの菊と梅の花の柄がとっても斬新(ざんしん)な感じがするでしょ。ちなみにこの紫色が渋目で良い感じゃない?でも花梨ちゃんにはこの柄は少し地味な気もするかな?」
 とやさしく目を細め、そして微笑みながら李は言った。

 そして次にピンク地の着物を手に取って
「これはね、木綿素材のうるわしつばきと言う名前の柄なの。うるわしつばきと言うのは縁起物の柄よ。ドビー織りと言って表面がとてもざらざらしているの」
 と言って説明をしてくれたその柄はとても可愛らしい椿の花だった。

 このようにざっと説明をしてくれたそのどれもが渋目の柄やとっても可愛くて美しい柄である。

「わあーステキ!どれを着ても良いのですか?」

「どうぞ。お好きなものを選んでね。その柄の中に気に入った柄がなかったら遠慮しないで言って頂戴。まだ他の柄のもあるから」
 と李が言った。

 ちなみに李はと言うと桃色地に蓮の葉っぱと種を大胆にあしらった柄の着物を着ている。それがまた李さんのイメージに程好くマッチしていた。
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