待っていたの

彩はゆったりといい気持ちで寝返りを打ち、片足を布団からだそうとしたが出ず、いつもとベットのスプリングもシーツの感触も違う、目を開けて身体を起こす。


今、何時だと携帯を漁るが出てこず、ベットの下か……と思い起きる。


「……あれ?」

左右見渡しても、自分の狭い6畳とは似ても似つかない。


「起きたか、ねぼすけ」

白夜が上半身裸で髪を拭きながら出てくる、その姿に見とれる。


「わ、わ、わたし……」

泣きそうな顔で布団を胸まで引き上げる、彩に何を思ったか一目瞭然だ。
その様子を見て白夜は、ニヤリと口角をあげ悪戯っ子のように笑う。


「大変、申し訳ありませんでした〜」

効果音は『ハハー』だった。
ベットの上で土下座をした彩に、また笑いが込み上げたようだ。


「ああ……人のベットでぐっすりとは、いい度胸だな?」

その言葉に、ハッと顔を上げる。


「え…と、それじゃあ?」

「寝ている女をどうこうするほど飢えてない、それに面白くないしな?」

「あの……ハハハ、ですよね?」

「わかったら、シャワー浴びて着替えて仕事しろ。」


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