待っていたの

翌朝も、いつも通り仕事をこなす。


月妃として。


「どうした、月妃?」

不思議そうな顔の白夜が、彩の異変をどうしたのだと尋ねる。


白夜の顔をちらりと盗み見ては、首を振ったり俯いたり無感情とはほど遠い。


「なにもありません」

震える声で、辛うじて答えまた自分の思考の海に沈む。
彩の顔は確実に、何かに悩んでますとかいてある。


今までは負けん気の強さからか、そんな表情をのぞかせる事もなかった。



< 227 / 243 >

この作品をシェア

pagetop