待っていたの

そのまま、授業を聞いてなんとなく理解する。


午前中で終わりなのでずいぶん短く感じる。
午後は、部活や家の手伝いなどたくさんする事はあるからだという理由と、机上の勉学では補えない知識をと学ぶためだ。


「じゃー、行くぞ!」

「お願いします」


そう言うとコソコソと上手くやったな淑鵬とか、陛下とも淑鵬とも仲良くしてとか、コソコソ話す声が微かに聞こえる。


「どこも変わらないんだね?」

「何が…?」

「人はどこに居ても、何も本質は変わらない」

「へー…ま、そんなもんだよ」

彩より年下の淑鵬がそう話すのは、少し違和感がある。


車などないので、羽の生えた馬に人が乗れる物を引く。


「うわー…すごい!触ってもいい?」

この世界に来て、初めてキラキラと輝く笑顔を見せた彩。


「ああ、おとなしいから大丈夫だよ」

「姫さん、気をつけろよ!」

「うん」

恐る恐る手を鼻先に持って行く。

天馬が匂いを嗅ぎ、ペロペロと舐めて、彩の顔を舐めだす。



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