待っていたの
「ごめん…なん…か止まらない…」

淑鵬の家につくまで、散々泣いた。
この国に来て初めて泣いた。

日本家屋風の広い家。
淑鵬のお宅にお邪魔する。

「母さん、友達連れてきた」

友達という言葉が妙に嬉しくて、くすぐったい。
男の子に友達とか言われた事ないから。


「お邪魔します」

「淑鵬、ご両親は…?」

「父ちゃんの店に行ってるみたい」

「臥家は有名な商家なんだぜ、姫さん」

「淑鵬も継ぐの…?」

「兄貴が継ぐ、俺は官吏になるんだ、じゃねーと学校にいくかよ!」

それはそうだ。
あそこは官吏の学校なんだから。


「そっか、できれば私の側にいて欲しいな…」

悲しく笑う彩。


その言葉をごまかす様に、物珍しそうに彩は探索し始める。


「オッサン……彩、陛下と上手くいってねーの?」

「オッサンはやめろ、今朝も喧嘩売ってたぞ」

「でも同衾したんだろ?」

同衾…ひとつの布団で寝る事、男女の関係になること。



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