七狐幻想奇譚
初めての友達に帰り道は足取りも軽い。今日チャットで報告しようと思った時、長い髪を無造作に束ねた……男だろうか、真っ白な白衣をひらひらさせながらこっちに向かって歩いてくる。



そのまま通り過ぎていく、はずだった。



「久しぶりだね、桃花ちゃん」



桃花が驚いて振り返る。



知らないはずだ、記憶の中にその顔は残ってない。



「知らないって顔だねぇ。当然、彼の事も覚えてないか」



…………彼?



この人は何を言ってるのだろう……。



桃花は思わずコンビニの袋を落としてしまった。



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