ブルービースト
「……生きて…ないよな」


「………ごめんなさい」



リシアからはブロードの表情は見えない。


彼の背中に、少女は謝ることしか出来なかった。




「……馬鹿だ。馬鹿」


「……ごめん、なさい…」


「リシアちゃんも馬鹿だ。けどハイリアも馬鹿だ」



抑揚のない調子で、ブロードは剣を鞘にしまいながら言った。


その言葉に俯いていたリシアは力なく顔を上げる。





「お前は…シャオルさんから何を学んだんだ?こんなの…リシアちゃんが傷付くだけだろ」


「………たい、ちょ」


「王様がお前を軍に入れた意味すらわかっちゃいないじゃないか。

…見損なった。誰だよ、偉そうに『何が何でも死ぬな』って言ったのは…」



動かない体に話しかけながら、ブロードは二本あった剣の一本をハイリアの横の地面に突き刺した。


いつ物色したのかは知らないが、よく見ればそれはハイリアの物。




「……遅れて、ごめん」




最後に小さく、小さく囁くと、ブロードはハイリアを肩に担ぎリシアに手を差し出した。


隊長は戸惑う隊員に優しい笑みを見せる。







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