ラスト プリンス
『誠の愛』それは一束の青い花


 ◇◇◇

 憂鬱で、憂鬱で、仕方ない。

 高級料亭だか知らないけど、こんなん食べてる余裕なんて、はっきり言ってない。

 ただ、愛想笑いと受け取られないような、上品な笑みを浮かべるだけでいいってことが、唯一楽なこと。

「T大学で、今は中国語を専攻しています」

 目の前の青年がにこやかに自分自身を立てる。

 うわぁ……誰でも知ってるような有名私立大在学中の方ですかぁ……。

 ………頭、良いんだろうなぁ。

「やっぱり、将来のことを考えれば、英語と中国語は当たり前になるのかしら」

 どう思います?、とお父様に話し掛けるお母様は、きっと、あたしに中国語を習わせようと企んでいるに違いない。

 これでも英語とフランス語、それから若干ドイツ語だって会話には困らないくらいは話せるのに。

 はあ。 中国語の講師が家に来るわ。

「今、決めなくても良いだろう」

 そうね、と穏やかに、けれど意志の色を含んだ声が聞こえた。

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