【続】俺様王子と秘密の時間


「放っとけねぇよ……」


羽鳥はあたしの頭に手を伸ばし、触れようとした。


その時。


ヴーヴーヴー。

ポケットのケータイが鳴った。



あたしはブレザーのポケットからケータイを取り出して、メールを開いた。



千秋からだ……。



「一生寝てろよバカ王子……」


メールの内容が見えていたらしく、羽鳥はそう言うと舌打ちした。

そしてあたしの頭に伸ばした手をひっこめる。



本文には何も書かれていなくて、けれど件名に書かれた文字に目の奥が熱くなって、視界が滲んだ。





【Re:逢いたい】



「……っ」


その時あたしはずっとこらえ続けてきた涙がこみあげて、ポタポタとアスファルトに溢れ落ちた。




逢いたくて……。

逢いたくて……。

たまらなくなった……。

 

< 144 / 658 >

この作品をシェア

pagetop