【続】俺様王子と秘密の時間
「あの女に何もされてねぇか?」
突然の問いかけに一瞬固まった。
あの女といえば、美結ちゃん?
「どうなんだよ?」
「あ……うん。もう何もないよ」
そう答えるあたしに影が出来る。
それは千秋が距離を縮めてきたからだ。
「ほんとかよ?」
あたしの顔を覗きこんできた。
ドキッ……。
千秋の端正な顔が真ん前にあるから、あたしはつい後退りして廊下の壁に背をつけるはめになった。
――ダンッ
「きゃっ」
逃がさないようにか千秋はあたしの頭の横に両手をついて閉じこめる。
真剣味を帯びた瞳に瞬きも出来なかった。
「ちょ……ちょっと千秋っ」
ビックリしたのと同時に胸が高鳴りを増す。
恥ずかしい気持ちがこみあげてきたあたしは、横に顔を背ける。
でもそんな抵抗は無意味だった。
強引に千秋の方を向かせられる。