【続】俺様王子と秘密の時間


そして春希さんはひたすら謝ると激しい音をたてて一気に階段を駆け落りていったみたいだ。


なんだか申し訳ないよ……。



「は、離れて?恥ずかしいの」


かぁああああああ。

あたしは今さらになって自分がどんな姿をしてるか気づいた……。


し、下着、つけてない。

ワイシャツ全開。

目が覚めたようだった。



「ん?もう少し」


でも千秋は解放してくれない。


あたしは抵抗しようと思えば出来たし、足をバタつかせることだってほんとは出来たんだ。



だけど……。


額、唇、頬、指、首筋。


優しく優しくキスをしてくれて。

何度も何度も柔らかな口づけをされて、身体の芯までふにゃりと溶けてしまいそうな気分だった。


きっとこのキスは両想いの味。


涙が出る程、暖かいと思った。


――重ねた手は絡ませたままで。

 

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