【続】俺様王子と秘密の時間


「で、お前、何してたんだ?」

「それは、その……」


う……。

言えないよぉ。

涼くんに猛抗議していたなんて。

出来るだけ、あたしのマヌケ面が載った最低なあの記事には触れたくない。



「なあ、言ってみろよ?」


千秋がすぐに目の前に来ていることを、わずかに漏れる太陽の光が教えてくれた。



「きゃ……」


そしてあたしの顔に自分の顔を近づけてくる。

コツンとおでこが触れる。


――ドキッ。


心臓が加速していくあたしなんてお構い無しに、千秋の長い睫毛が視界に入りこんできた。


あたしは反射的に目を瞑る。



「期待させてわりぃけど」

「え……?」


キスされるんだと思っていたあたしは、千秋の声に目を開いた。



「男の匂いがすんだけど?」

「う……」

 

< 28 / 658 >

この作品をシェア

pagetop