【続】俺様王子と秘密の時間
ドキリッ……。
ベンチの隅にジュースが二つ置いてあって、戻ってきていたこにあたしは気づかなかったのだ。
「なにやってんの?」
膝の上に置いたMDプレイヤーの停止ボタンを押したのは黒澤拓海で、困惑したあたしは苦し紛れの言い訳をしようとしたけど口ごもるしかない。
「人の鞄漁って、何か収穫はあった?」
「そ、そんなつもりじゃ……。コレ…返したかっただけで」
「なに?」
「コレ、アナタのでしょ」
差し出した写真を見て目を丸くする黒澤拓海は驚きを隠せない様子で、なかなか受け取ろうとしなかった。
その写真をじっと見ている。
「よかった……」
「え?」
しばらく写真を見つめたあと、掠れ気味の声でそう言うと眉を下げて笑った。
「シイが持ってたんだ?」