【続】俺様王子と秘密の時間


「全然、足んねぇんだよ」

「やだ……っ」


活きのいい魚みたいに千秋の腕の中でジタバタと足をばたつかせて、あたしは逃げようとする。



「逃がさねぇよ?」


グッと顔を近づけてくる千秋。



「お、お願いだから待って……」

「ダメ」


千秋はいつものように、からかってるような雰囲気じゃなかった。



「お前を、もっとちょうだい?」


絞り出すような声。

濡れた眼差し。

千秋は見下ろしながら口元で笑うと、あたしの胸に顔を埋める。



「ちあ…き…っ」


唇、指先で触れてくる。

あたしは千秋が何を考えてるか、あたしをどうする気なのか……。


先へ先へと考えたって千秋の思考なんてわからないのに、そうしないと心臓が破裂しちゃいそうで。


せめて心の準備を……なんて考えてる自分が変なんじゃないかって思って、恥ずかしい想像をシャットダウンした。

 

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