【続】俺様王子と秘密の時間


羽鳥の声がこだました。

朝日を浴びる羽鳥のウェーブが、眩しいくらいに光って見える。



はーちゃんは昨日、羽鳥達が部屋に来た時、羽鳥を見て眉を寄せていた。

羽鳥の変化に、はーちゃんもコウちゃんも気づいていたのに、あたしだけ気づいていなかった……。

今思うと、気づきたくなかっただけなのかもしれない。



「往生際がわりぃのは、百も承知だ」

「……」

「でも、シイにキスしたかった」


ドクンッ……ドクンッ……。

切なげに眉を下げる羽鳥の瞳が、あたしの心ごと締めつける。


“往生際がわりぃ”

その言葉はどこかに置き忘れた、苦い恋の味を思い出せた。

去年、ちっぽけなあたしなんかを好きだと言ってくれた羽鳥の顔が脳裏に浮かんで、苦しさが募る。



「シイにキスしたいからした。オレはシイが……」

「羽鳥!」


遮ったのはあたしじゃなくてはーちゃんで、気まずそうにどこかを見上げる。

 

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