蝶彼

対立


あれからも
夜遊びが激しい隆也。
女をつくって遊んでるようには見えないが・・

「ねぇ隆也」
「ん?」

ソファに腰をかけている隆也が
こちらに振り向いた。

「今日さ一度家戻るね」
「え・・何で?」
「夏服持ってくるから」
「分かった」
「・・うん」

またテレビを見始めた隆也
私はふと壁側を見た。

―――雅

あれから会わないようにと
わざと外には出ようとしなかった。
そんな私を別に何か思う様子もなく
隆也はバイトと夜遊びを繰り返していた。

「じゃぁバイト行ってくる」
「うん」

玄関へ向かう隆也の背中を
後ろから眺める。

「あ,そういえばもう少しで夏じゃん」
「うん・・そだね」
「どっか行きたい?」
「いいよ,別に」
「意地はるなよ」

そう言って笑った隆也
「考えといて?」
「・・うん」

じゃねと軽く手を上げて
隆也は家を出た。
私も手をふる。

フウと一息ついて
台所に戻った。


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