蝶彼

押し寄せる不安


2時間ぐらいたっただろうか?
お昼に近づいてきたとき隆也は起きてきた。
「隆也」
「おはよ」
頭を抑えながらリビングに入ってきた。
「頭痛てぇ・・」
「二日酔いでしょ」
冷たく言い放つと隆也は不思議そうな顔をして
冷蔵庫からミネラルウォーターを出した。
そしてぐいぐいと飲む。

「やばいなー・・バイト行けるかな?」
「ねぇ隆也」
「んー?」

隆也は私の横に座った。
「昨日のこと覚えてる?」
「覚えてない」
「昨日隆也のことここまで送ってくれた人」
「・・ん?」
「綺麗な人さ・・誰?」

目を丸くした隆也。
「え?あー,たぶん飲み仲間?」
「たぶんって何?」
「最近よく飲んでる友達」
「いつも飲みに行ってる人って女なの?」
「いや?男の方がたくさんいるよ」
「ってことは女もいるんでしょ?」

何したんだよーと言って
私の顔を覗き込んだ隆也。
「何でもない」
「何か浮気してるか確認してるみたい」
そう言って苦笑いした隆也。

不安で不安でだから聞いたのに
何かショック。
普通に女とも飲んでたなんて。
私が鈍感なだけ?
はやく気づけって?
仕方ないじゃない
隆也のこと信じてたんだから。

「ごめんな?朝帰りでー・・」
「いいよ,大丈夫」

そっと立ち上がり私は寝室の方に行った。
ベッドに腰をおろす。
隆也とあの人は付き合ったりしてないんだよね?
すっごく綺麗な人だけど違うよね?

信じるしかないよね,今は。

これから何も起こらないよね?
今は。


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