secret WISH


さわりと風が部屋に舞い込む中
アメスは優しい笑みを零した。

「いいですね、そういうの」

「ぇ」

正直そんな答えが返ってくるとは思っていなかった俺は
驚きで、思わず小さな声を上げた。

無理でしょう。

そう言って、笑うだろうと思っていた。
だからそう言われても大丈夫な様に、笑える様にしていたのに。
なのに‥‥
そんな事言うから、何て言えばいいか分からない。


「もし全てが片付いた時‥、もしかしたら無理かもしれませんが」



私も、連れて行ってくれますか?



ふんわりと笑うアメスに、また言葉に詰まる。
ドキドキと、いろんな意味で心臓が鳴る。

「あ、あぁ」

震えた様な声で答えた俺に、アメスは笑った。
何でそんな変な顔して言うんですか、と。
それに対して俺は両の頬をパンパンと叩くと、
また笑われた。

こんな空気、嫌いじゃないな‥。

「約束、ですよ?」

差し出された小指に、ドキマギしながら
俺は自分の小指を絡めた。

「あ、そうだ」


チュッ


「!?」


頬に急に唇が落ちてきて、俺は目を見開いた。
絶対に、アメスは恋人らしい事なんて
何一つしてこないだろうと思っていたから
俺は驚きで硬直した。

バクバクと心臓が飛び跳ねながら
鼓動をしている。

「これ、宿泊代と言う事で」

照れくさそうにはにかむアメスに
更にドキドキしたのは、言うまでも無い。





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