窓際の夜想曲 ‐短編集‐
♪屋根裏の奏鳴曲


失敗した、と万波(まなみ)は思った。

選んだ部屋は北向きの窓しかなく午前中はまったく室温が上がらない。
しかも暖房の吹き出し口がないから救済策もない。



6畳くらいのフローリングには西側の壁に寄せられたシングルベッドと小さな机があるだけ。
机には鏡が乗せてある。


天井は斜めになっていて、内装はきれいだが…まるで屋根裏部屋のようだ。



万波は震えながら毛布にくるまって携帯を見ていた。


これは、午前10時51分の話。


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