戦慄の旋律1 -頭-

遊ぼうよ


コツン。


岩を蹴ってしまった。だいたい15cm位の一枚岩。結構痛い。

道路にこんなものを置くなんて、古いというか、幼稚ないたずらだな。
その瞬間、僕の人生は変わったんだ。


「キャアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」


凄まじい悲鳴。ブレーキの音、何かがつぶれる音、爆発音。


一瞬だった。

皆消えた。

振り向いた僕の目の前に広がるのは、


トレーラーから燃え上がる一面炎の海だった。


「危ない!ほら、こっちに!!」

知らない人に腕をつかまれ、車に避難させられた。
間もなく消防車やら救急車やらパトカーが来た。


「君がここにいた少年だね。名前は?」

「小野棟慶介です。」


年をとった優しそうな警察官にいくつか質問をされた。
怪我はないか、どういう状況だったか、運転手の様子は見たか。

そして、簡単にyesかnoで答えて警察官が去ろうとした時、僕は思い切って聞いてみた。


「あの、皆は?」

すると警察官は振り返り、こう言った。

「皆?運転手以外の遺体は無かったけれど?他に通行人でもいたかい?」





いない?そんなはずはない。





そのまま警察官は去ってしまった。

僕はもう一度夜に事故があった現場に行ってみた。
もう人は居なく、静かな空間が流れた。


「何で、いないんだろう…」


きっと何かの間違いだったのかもしれない。
そうだ、友人の家に電話をすればいいんじゃないか。


早速、携帯電話を取り出してかけてみる。


コール音が鳴る。でも僕は、一瞬、確実に聞こえた。





‐ゴ メ ン ナ サ イ‐





という、幼い女の子の声。

その直後に友人の母親が電話に出た。きっとさっきのは風かなんかだろう。


『もしもし、慶介君?どうしたの?』

何だか嫌な気分が胸や頭を支配する中、僕は遠慮がちに答えた。

「あ、えと、○○君…の事で…」





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