猫とうさぎとアリスと女王
帰り道、私はイオと二人で歩いていました。
何も喋らずに。
ただずっと静かな道路を歩いていました。
夕焼けの中、イオがぽつりと呟きます。
「いいの?」
たった一言。
それだけでイオの言わんとしていることがわかります。
けれど私はそれを理解しながらも、イオに聞き返しました。
「何がですか?」
「わかってるくせに。シーナのことよ。」
私の心はいとも簡単に見破られてしまいました。
「シーナが予てから望んでいたことですもの。喜ばしいですわ。」
私はできるだけ笑顔を作って言いました。
けれどイオは納得できないような顔で私を見ます。
「笑顔で送り出してあげたいとか思ってるの?」
「ええ。勿論。」
そこでイオはため息をつきました。
私、何か悪いことでもいってしまったでしょうか?
そんなことを思っていると、イオが呆れたような顔で言いました。
「マコ、自分の顔を鏡で見てみたら?
そんな顔で見送ったら、シーナは気持ちよくパリへ行けないと思うわよ。」
自分がどんな表情だったのか。
イオの言葉で悟りました。
必死で作った笑顔も笑顔にはならず、苦笑に近い表情になっていたのでしょう。
まるで迷子になった子どものような。
私の表情も、心も、今はそんな感じなのでしょう。
どこへ行ったらいいのかわからない。
誰かが手を差し伸べてくれるのを待っているのです。
けれど待てど暮らせどそんな救いの手など誰も差し伸べてはくれないのです。
自分の足で動かない限り、迷子は迷子のままなのです。
何も喋らずに。
ただずっと静かな道路を歩いていました。
夕焼けの中、イオがぽつりと呟きます。
「いいの?」
たった一言。
それだけでイオの言わんとしていることがわかります。
けれど私はそれを理解しながらも、イオに聞き返しました。
「何がですか?」
「わかってるくせに。シーナのことよ。」
私の心はいとも簡単に見破られてしまいました。
「シーナが予てから望んでいたことですもの。喜ばしいですわ。」
私はできるだけ笑顔を作って言いました。
けれどイオは納得できないような顔で私を見ます。
「笑顔で送り出してあげたいとか思ってるの?」
「ええ。勿論。」
そこでイオはため息をつきました。
私、何か悪いことでもいってしまったでしょうか?
そんなことを思っていると、イオが呆れたような顔で言いました。
「マコ、自分の顔を鏡で見てみたら?
そんな顔で見送ったら、シーナは気持ちよくパリへ行けないと思うわよ。」
自分がどんな表情だったのか。
イオの言葉で悟りました。
必死で作った笑顔も笑顔にはならず、苦笑に近い表情になっていたのでしょう。
まるで迷子になった子どものような。
私の表情も、心も、今はそんな感じなのでしょう。
どこへ行ったらいいのかわからない。
誰かが手を差し伸べてくれるのを待っているのです。
けれど待てど暮らせどそんな救いの手など誰も差し伸べてはくれないのです。
自分の足で動かない限り、迷子は迷子のままなのです。