猫とうさぎとアリスと女王
 そこでサボが口を挟みました。


「その家柄やら過去の話、シーナにしたんだろうな?」


私の心臓がドキッと音を立てました。


「あら、サボはもう知ってるの?」

「こと細かに知ってるわけじゃ無えけど、大体のことならな。
裏でクスリ買ってた人間の耳には自然と入ってくる情報さ。」


するとサボは私の表情から全てを読み取ってしまったようです。


「まさか、お前まだ言って無えのか?」

「えっ!?あ、い・・・言おうとはしたのですけれど・・・。」

「言って無いんだな!?」


サボが語気を強めて私を睨みます。

根負けして私は小さく頷きました。
するとサボは大きなため息をついてその場に座りました。


「お前さ・・・パリに行く前には話すつもりなんだろうな?」

「一応・・・。」

「一応じゃ無えだろうがよ!ちゃんと話せよ?」


そこでイオが助け舟を出してくれました。


「サボ、あんまりマコを責めないで。
隠したいことの一つや二つあるでしょう?
マコは言わなきゃいけないってわかってるわよ。
できれば言いたく無いんでしょうけど。」


「イオのおっしゃる通りですわ。
いずれ話すことになるとは思うので、できるだけ早めに言おうとは思っているのですけれど・・・。

やっぱり・・・私・・・。」


するとサボが私の頭をがしっと掴みます。


「全部話してやれ。安心しろ。
シーナはそんなことでお前を嫌いになったりなんかしねえから。」


イオは私を見て優しい顔で笑っていました。


「大丈夫よ、マコ。」


二人の言葉を聞き、私は深く頷きました。


< 236 / 281 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop