猫とうさぎとアリスと女王
 自宅に戻りトラを乗せ、智鶴さんには謝罪の電話をしました。

車は猛スピードで裏新宿へと向かいます。


目的地に到着し、路地を縫ってどんよりとした中へと入り込んで行きます。
まるで掃き溜めのような場所。
好んでここに足を踏み入れる人間はいないでしょう。

すると人だかりが見えました。




懐かしい、この日当たりの悪い広場。

まさかここに舞い戻って来ようとは思いもしませんでした。


「おい、ここはガキの来る場所じゃ無えぞ。」


強面の体格の良い男が三人、私を囲みました。


「やめろ。てめえらこの人が誰だかわかってんのか!?」


トラが拳を握ります。

私はそれを止めました。


「やめなさい、トラ。構いません。自業自得ですから。」


すると男たちは目を丸くします。


「トラさん、このガキ知り合いっすか?」

「口を慎め。」


そう言って私は人ごみを縫っていきます。

トラが私の前を歩き、道を空けます。


この格好で平気かしら?
先程も子どもと勘違いされてしまったようですし・・・。

まあ、いいでしょう。

私はミニハットを取り外し、広場の中心の高台へと上りました。
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