猫とうさぎとアリスと女王
Ⅷハートの女王の嘆き
 携帯電話を持ち歩く習慣がついたのはつい最近。



私は今まで携帯電話を持っていませんでした。

だって必要無かったのですもの。
あんな無機質な機械。
私の可愛いバッグに入れたくはありませんでしたから。


それに連絡が取れなくとも困ることが無かったのです。
自宅のお電話で十分。




それに私、機械の操作が酷く苦手なのです。
なので私の家にはコンピューターの類も無ければ、便利な機械はありません。

洗濯機と乾燥機はお洋服の寿命に関わる大事な機械。
(とは言ったものの、殆どクリーニング会社さんに頼んでしまうのですが・・・。)

それの使用方法は必死に覚えましたけれど、他の物は別。


紅茶が飲みたければ可愛らしいケトルでお湯を沸かしますし、他の物は人任せ。
自分で操作することなど御座いません。



その私が携帯電話を持つだなんて、天地がひっくり返っても有り得ないと思っていました。

けれど・・・理由があって持つことになってしまったのです。





しかし携帯電話を持つことによって、楽しみが増えたのも事実。

私はまず無機質な外見が嫌だったので、ピンク地にジョン・テニエルの絵柄が入ったものを特注。


そしてBABY,THE STARS SHINE BRIGHTで可愛いらしいプードルの携帯電話入れを購入しました。
今はそれに入れて持ち歩いていますのよ。

ストラップも勿論BABYです。
可愛い苺のキャンディストロベリーストラップと、ハートのバッグチャームをつけましたの。




すると授業中にも関わらず私のキュートな携帯電話が震えだしました。
(マナーモード?とかにするのもやっと最近覚えました。)


こっそりとディスプレイを見れば
【集合】
の文字が一言だけ送られてきていました。


それを見て私はため息をつき、真っ直ぐと手を挙げました。





「先生、お腹が痛いので医務室に行ってもよろしいですか?」
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