猫とうさぎとアリスと女王
 私は驚きのあまり言葉を失いました。

嘘でしょう?サボが自分のお姉様を好きになるだなんて・・・。


「勿論そんなこと口に出して言えるわけも無くて、サボは家にいると凄く辛いんだよ。
好きな人に好きって言えないのって苦しいと思うんだ。

サボが初めてクスリをやったのはその頃だったかな?
松子さんが亡くなって、自分が紗代子さんを好きだって本格的に気付きだした頃。

サボは逃げたんだよ。
どうしようも無いから幻覚に助けを求めたんだ。
ドラッグっていうのは幻覚を見る作用もあると同時に、現実を見なくても済むからさ。

本当、サボって馬鹿だよね・・・。」



シーナは悲しそうな目でそう呟きました。


私はその言葉に耐えられず、涙を流しました。




その日、私は一人で自宅へと帰りました。

シーナは家まで送ってくれると言いましたが、とてもそんな気分にはなれません。


サボは私の前ではいつも笑っていました。
ニヤニヤ笑いで、いつも悪態をついて、私にいつも意地悪をする。

かと思えば時に励まし、背中を後押しするようなことを言ってくれました。


そんなサボがあんなにも辛い状況下にあったなどと想像できましょうか?



私は胸が痛くて仕方がありませんでした。

サボは私の知らない所で泣いたりするのでしょうか?
寂しそうな顔をするのでしょうか?


けれどドラッグを使用することはいけないこと。

どうにかしてサボを助けたい、私はそう思うようになりました。


だって私は何度もサボに助けてもらったのですもの。



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