ヘタレ船長と二人の女海賊
俺の言葉に、アンを除く全ての船員達が溜息をついた。

『また船長の奇行が始まったよ』と言わんばかりに。

「船長、女を加えてる海賊一味なんて聞いた事がねぇぜ」

「まぁまぁ、いいじゃねぇか」

「よかねえよ、女連れの海賊なんて、よその海賊団にカッコがつかねぇじゃねえか」

「そういうなよ、アンのピストル捌きは半端じゃねぇんだ。そこいらの男よりも役に立つぜ、コイツは」

「でもよぉ…」

不平不満を口にしながら、アンに視線を送る船員達。

しかし。

「そんなつれない事言わないで、お願いよ…お・ね・が・い♪」

アンは自慢の美貌と愛らしい仕草で船員達を魅了する。

荒くれといっても所詮は男だ。

船員どもがアンに篭絡されるのは時間の問題だった。

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