てるてる坊主の恋
「何じっと見つめてんの?」

「誰があんたなんかを!!」


体育館に向かう中、見とれていたことを気づかれたのが恥ずかしくて、ついついキツイ言い方になる私は、本当に可愛くない女だと思う。

でも、それがいつものことだからか、「素直じゃないんだからー」とたいして気にせず話を流してくれるのは嬉しいような、寂しいような…。



「なぁ、お前知ってる?」

「何を?」

「てるてる坊主のおまじない」

「…一応」

「あれ効き目あるんかなぁ?」

「どうだろー」



ふと漏らした「俺もやってみようかな」という声に、私の心臓がギュっと痛くなった。




.
< 4 / 19 >

この作品をシェア

pagetop