死神の女



「…何故お前は逃げたり叫んだりしないんだ?」



女は大きな鎌を握ったまま質問してみた…どうしても知りたかったからである…



「これが私の運命だから…その運命に逆らったりしない…綺麗ごとを言っているわね…」



老婆は何故か続きを話す前に少し悲しそうに言った。


「どっちにしろ私はこの病気で死ぬって知っていたし
病死じゃなくてもろくにご飯も食べられなくなってしまった
だからそろそろ死ぬってわかっていたの…
それに私も何十年も生きたから今更やり残したこともないから
死を覚悟して毎日生きていたのよ…」



それ以上老婆は何も言わなくなった
女もそれ以上何も聞かなかった。



『少し時間も過ぎてしまったな…』
と思いつつ、大きな鎌を老婆に向けて勢いよく振り落とした。



魂を刈った後、女は見た…




静かに眠りながらも優しく微笑んでいる老婆を…


死神になってから微笑むことをしなかった女はこの時初めて美しく…
そして優しく微笑んで消えた…












誰もいなくなったはずの静かな部屋は何故か今も…綺麗な歌声が聞こえてくる…
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