Slow Magic ~星が見守る愛~
窓を開けると、マンションの下から話し声が聞こえた。
話し声と言うより怒鳴り声。
客観的に見ると、一人の女を奪い合う男2人。
「隆介のせいだろ!」
健太が隆介の肩に手を乗せて、隆介の体を揺すってる。
「俺知らないって言ってんだろ…もう関係ねぇんだよ。」
その手を振り払う隆介。
そのまま、見えない場所へ2人は歩いた。
また想像が膨らむじゃん…
私は、ハムスターのみーたんを手に乗せ、話しかける。
「みーたん…あんたのご主人は、いろいろ忙しいね。」
みーたんは私の腕をトコトコと歩き、肩まで登る。
うちのりゅーたんは、こんなことしない。
きっと隆介が毎日かわいがってるからだね…
鈴子からもらったみーたんを…
ハムスターに罪はない。
それなのに、鈴子にもらったと知ってから少しだけりゅーたんと距離がある私。
最近ではお母さんが一番かわいがってるかも知れないね。
「みーたん・・・さっき、ここで一緒に暮らしてもいいって言ったよね?聞いてた?」
みーたんは私の首に鼻をくっつける。
ドン…
玄関から音がして、私は涙がばれないように必死で服の袖で涙を拭いた。
「・・・隆介………」
髪が乱れた隆介は、私を見てニコリともせずに携帯をテーブルに投げた。
みーたんを小屋に戻して、立ち上がる私を…睨みながら言うんだ。
「俺、お前だけでいいや…」
また涙が溢れた。