Last Wing
「祐樹…っ頑張って!」
初めて聞いた筈の君の声は、俺の耳に馴染んで、擽る。
「美音!」
「っ!?」
「歌って?……勝ってくるから!」
涙を一筋流し、響きだす歌声。
風のように軽く
鈴のように華やかに
鍵が空いた鳥籠から飛び出した一羽の鳥は太陽を目指す。
神の前で舞い、さえずり、魅了して。
自分がどれ程の存在を閉じ込めていたのか後悔するだろう。
そして楽園にいる者たちも見惚れるのだ。
“地上には、現世には…こんな素晴らしい宝がいたのだ”と。
祝福の時のように鐘がなる。
楽園の者たちも、讃えて祝祭を開くんだ。
おかえり
「祐樹!」
おかえり、俺の天使。