図書室のラブレター

Wing―羽―





ついにこの日が
訪れてしまった。



今日は終業式。



今日が図書室とも
お別れの日。



終業式の次の日には
取り壊されると
沙菜さんから聞いた。



終業式が終わると、
私は駆け出した。



最後ぐらい全てを
目に焼き付けたくて
全力疾走する。




「着いた…」




やっぱり慣れない走りは
キツかった。



でもそんなこと言えない。



私は呼吸を整える。



そしてゆっくりと
重い扉を開ける。



ミシミシという、
この古臭い感じが懐かしい。


< 278 / 293 >

この作品をシェア

pagetop