図書室のラブレター

Injury―傷―




最近、花井君は
毎日来てくれていた。




ちょっとだけだけど
話すようにもなっている。



意識し始めてからは
顔を見るのも
本当は恥ずかしかった。




でも彼は不良だから
誰にも相談できなかった。



アイツとは話さないことって
入学した時に結依と
約束したんだ。


だから親友にも話せないよ。




(まさか私が花井君と
話してるなんて誰も
想像できないだろうなぁ)




──ガラッ



扉を開けると
彼はもう来ていた。


いつもの席に座っている。



ただいつもと違うのは
外を見ていなかった。


ただ机に突っ伏していた。



窓から差し込む
夕日がまぶしい。



きっと金色の髪に反射して
よけいにキレイに輝いていた。



触りそうになった手を
引き止めた。




「こ、こんにちは」

< 42 / 293 >

この作品をシェア

pagetop