聖花学園~花よ咲き誇れ~
「今逃がして誰かに話されでもしたら困るからな。午後の授業はサボれ」

「ええぇ~~~!?」

 自分勝手な物言いに不満の声を上げる。
 すると流依さんは少し顔をしかめた。


「不満そうだな。やっぱりあの程度の口止め料じゃ足りなかったか? ディープの方がいいか」

 そう言った流依さんは、わたしの手を引いて腰を抱いた。



 顔が……近づく。


「ぃぃいいいいいえ! ケッコウデス! 言うとおりにします!!」

 破裂しそうなほど高鳴る心臓を押さえ、声を絞り出した。


「……そうか、じゃあ行くぞ」

 流依さんはそう囁くと、腰にまわした手を離し、またわたしの手を引っ張って歩き出した。




 また無言になってしまったけれど、わたしは引かれるままに歩き、鼓膜にまで響いてくる心臓の音を抑えるのが精一杯だった。



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