僕様王子に全てを奪われて
「愛子さん、すみません!
つい口が滑ってしまって」

店から出てきた有栖川が、がっくりと肩を落としている私に声をかけてきた

「つい…口が…ねぇ
ホント、良い性格してるわね
アナタって!
私を苦しめて楽しい?
惨めな私を見て笑いたいの?
笑いたければ笑いなさいよ
馬鹿にしたいなら、馬鹿にしなさいよ!
私はね、生きていくのに必死なのよ
お金を稼がないといけないの!アパートの家賃が払えなかったらどう責任をとってくれるの?」

和服姿の有栖川が、キョトンとした目で私を見つめた

「アパートを追い出されたら、僕の家に来ませんか?」

「行きません」

私は即答する

考える時間すら、勿体無いわ

「なら、必要な金額を言ってください
飯塚に用意させますから」

「なんでですか?」
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