僕様王子に全てを奪われて
『と、とりあえず、このまま電話を続けるわよ
勝手に切らないでよ』

冴子が私に話しかける

電話の向こうでは、なんかせわしない音が聞こえている

着替えている音なのか…風の音なのか

誰かの話声なのか

なんか、どうでもよくなってて

私にはよくわからない

なんか勝手に涙とか…出てきて

泣くのに必死というか

涙を止める方法を考えるのに必死というか…

もう、どうでもいいっていうか

通話中のまま

私は携帯を床に置いて、わんわん声をあげて泣いた

『寂しい』

ただその感情だけが、私の心を支配する

あ、私

ずっと寂しかったんだって気がついた

誰かにかまってもらいたくて…仕方がなかった

誰にも見てもらえてない人生かと思ってたから

ただの邪魔もので…

消えていく人生じゃないのかも?って有栖川と出会って少し期待がもてた気がした

でも自信がなくて

怖かった
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