僕様王子に全てを奪われて
「愛子、僕は……」

「ちょ…ちょっと待って!」

私は竜ちゃんの手を握りしめて、言葉を止めた

「お願い…話はあとで聞くから
今は…お腹が減って…御飯が食べたい」

私のお腹が、私の言葉に反応するかのように盛大な音をたてた

その音を聞いた竜ちゃんがにこっと優しい笑みを浮かべた

「わかった」

あ…笑わない

有栖川なら、絶対ここで大笑いするのになぁ

なんか…竜ちゃんのほうが大人な対応だ

「愛子さん…何をしてるんですか?」

「は?」

私は玄関のドアが開いて、怖い顔をしている有栖川と目が合った

え?

なんで?

仕事は?

私が首を傾げると、竜ちゃんも後ろを振り返った

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