僕様王子に全てを奪われて
「僕の気持ち、通じました?」

「通じません
でも、冴子がなんで私を怨むのか…理解できた気がする」

私の生けた花を、そんなふうに見てくれている人がいるなんて

そりゃ…嬉しいけど

もう…遅いよ

私はもう、華道の世界には戻らない

滝沢家の名は捨てたの

祖母の代で、華道の滝沢は終わったのよ

「ありがとう
私、誰かに褒められたことってないから」

私は笑みを作ると、下を向いた

花はもう…いいの

触らない

「なら…僕のために、愛子さんの花を見せて
僕だけに…愛子さんの……」

有栖川が、私の太ももに手を置く

スカートを少しずつ、ずり上げていく
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