僕様王子に全てを奪われて
スッと有栖川が立ち上がると、私の腕を掴んだ

「来てください」

「ちょ…何を…」

「いいから、愛子さんに話しがあるんです」

有栖川が怖い顔をして、私の腕をぐいぐいと引っ張った

「先生、どうしたんですか?」

一緒に来ていた客が、有栖川の肩に手を置く

「あの…申し訳ありません
うちのスタッフが、失礼なことをしましたか?」

店の奥にいたオーナーが、真っ青な顔をして駆け寄ってきた

「彼女を今すぐ首にしてください」

え?

なんてことを言うの?

有栖川の発言に一同の動きが止まった

「えっと…」

有栖川が困った表情を浮かべた

こめかみを指先でかいてから、気まずそうに苦笑する

「すみません!
先生のご気分を害してしまわれたのですね
すぐに首にしますから」

オーナーが私を睨む

ちょっと待ってよ

私が悪いわけ?

なんで?
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