お兄ちゃんの気持ち
始まり
昼休み。

いつもは弁当を持参している俺だけど、今日はカナコが卒業旅行へ行っているのと冷蔵庫が空っぽだったのとで、弁当を作ることが出来なかった。

外出先から会社へ戻ったのはちょうどお昼休みが半分過ぎた時間で、そのまま席に鞄だけ置いて再び外へ出た。

「どこへ行くかな」

男が一人で入れるお店なんて限られている。

オフィス街なのでそれなりに食事のできるお店はあるけど、ランチの時間帯なのでどこも混雑していた。

「…あそこへ行くか」

少し離れたところにある、小さなお店。

ランチが評判でいつも並んでいるけど、今日はどうかな?

まっすぐとお店へ向かうと、案の定店の前には数人のお客さん。

それでも回転がいいのか、並んでいた俺もあっという間に店の中へ入ることが出来た。
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