お兄ちゃんの気持ち
その日、宿をキャンセルして家へ連れ帰ることにした。

どうなるか解らないけど、俺が認めた男だからカナコも惚れるかもしれない。

初めてコウスケを見たカナコは、恥ずかしそうにしていたけど。

俺から見たら満更でもないようで、翌日にはデートに出掛けてしまった。

一人残された俺は落ち着かなくて。

こっそり覗きに行こうかとも思ったけど、そんなことをしている自分が情けなくて。


「もしもし、カオリ?」

仕事中であろう彼女に電話したら、大声で笑われた。

『もー!コウヘイ君可愛い!』

年上の彼女は、普段は幼いくせにこういうときだけ大人ぶって。

『大丈夫よ、自慢の妹さんでしょう?』

そんな一言で心が揺らがなくなるから不思議だ。

『コウヘイは真面目すぎるのよ。妹さんをしんじなきゃ』
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