他人の恋愛話に興味はねぇ
恭平の告白

①ガストにて

「不倫って、そんなにいけないことなのかな」

ガラス越しに通りを眺めながら恭平が唐突につぶやいた。

学校の帰り道。

俺と恭平と、タシロと、村上の
いつものメンバーでガストに立ち寄り、
この後雀荘に行こうかどうしようか
話している時のことだった。


話にも加わらず
どこか浮かない顔でいた恭平が
突然口を開いたと思ったら
「ふりん」だ?


「不倫って、恭平
おまえ人妻と付き合ってんのか?
やめとけやめとけ。
俺も経験あるけどさ
最後は滅茶苦茶になるぜ」


タシロが自嘲気味に笑う。


初耳だったがタシロならありうる。

整った顔立ちに
「来るものは拒まず」の精神でいるタシロは
やりチンで有名だった。

初体験が小学5年生。


まだ19だというのに
100人切りも間近だというのだから羨ましい。
それでも憎めないのは
同い年でありながら、どこか兄貴分のような逞しさを感じるからだ。
友達想いのところもある。


恭平は、タシロの忠告を聞いているのかいないのか
外を眺めたまま火を点けないマルボロをもてあそぶ様に
ずっと指に挟んでいる。
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