Strawberry on the shortcakes



私がぶつかった衝撃で
チェストの上の写真たてが落ち


   カシャ…ン


ガラスがフローリングの床に
散らばる



倒れた私を
呆然と修ちゃんは見つめ



先生はすぐ私に駆け寄り
床にひざをつけ抱きかかえた



「大丈夫か?」


先生の腕の強さを
肩に背中に感じながら


「大丈夫…
先生、破片落ちてるから
足、気をつけて………」



私を抱いたまま先生は


「宇佐美、お前、どうして
腹がたつのはオレにだろう?
どうして彼女に手を……」



修ちゃんは小さく首を横に振り


自分が今したことが信じられないみたいな顔をしてた



先生はそんな修ちゃんを
じっと見つめてから



「山本、もう帰りなさい」



「………え?でも、先生…」


視界の端にダイニングテーブルの とんすい と れんげが映る


きっと もう食べられた物じゃないだろうお粥



作り直して先生は薬を……



「もう大丈夫。
ありがとう、山本。
今日は助かったよ」


先生が私にお礼を言うと
今まで感じてた親密さが
消えてなくなっていくようで
哀しくなる



うつむいた私に
そっと先生は耳うちした


「オレは大丈夫…

絆はそばにいてくれた
優しい人の気持ちを
考えてあげなさい」



< 192 / 283 >

この作品をシェア

pagetop