あの男は私に嘘をつく
大人
「じゃあ、もう帰れ。ほら、暗くなってきたし。」





「えぇ………。」






まだ離れたくない、て言葉は飲みこんだ。言ったら、また意地悪な顔されるし……。てか、どうせ帰らなくちゃいけないもん。







「どうする??ここに泊って、明日の朝ここから登校するのもアリだけど??」








「なっ!!!!」










またからかってる……。私の反応見ておもしろがってるもん。そんなんしたら、先生のクビ、一発でふっとぶんだから、本気で言ってるはずがない。







私は先生を突き飛ばしてカバンを肩にかけた。脩二ならふっとんでくけど、先生は意外とガッチリしてるから、少しもよろけなかった。









「もお、帰りますよーだっ!!!」






ドアを閉める時、先生が手を振ってるのがちらっと見えた。それが幸せで、いつの間にかスキップしていた。そんなキャラじゃないのにね。





先生はすごい。私をこんなにも幸せにして、恋する女の子にして、可愛らしくできる力があるんだもん。
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