Symphony V
レオンの言葉がぐるぐると頭の中を回る。唯は何も言えなくなった。


そんな…だってレオンは確かに大人だけど、私と同じくらいの歳で、泥棒なんてやってたっていうの?稜夜先輩も一緒に??信じられないよ…


「信じられないかもしれないけど。これが本当のことなんだ」

レオンの言葉が真実だとすれば、さっき稜夜がレオンのことを『オルトス』と言ったのにも納得がいく。

「でも、それなら、稜夜先輩とレオンの2人あわせて、オルトスってことなんだよね?」

唯の言葉に、レオンは頷いた。

「そうだ。稜夜がターゲットの保管されている美術館等のセキュリティシステムを、全て無効化し、その間に、俺が盗みに入る。いつもそうやってきた」

「でも、昨日の深夜に、オルトスが現れたって…」

そう、唯が自宅に巧と一緒に戻ったとき、周囲にいたマスコミがそっちに気をとられたおかげで、家の中に入ることが出来たのだ。

「本当は、稜夜と一緒にやるはずだった。手はずも整ってた。けど、あいつがあんなことになって、それどころじゃなくなって。本当は、やめるつもりだった」

レオンが俯く。

「だけど、逆にそれじゃ変な疑いを招くんじゃないか。そう思って、俺は、思い切って決行することにした」

ぎゅっとこぶしを握るレオン。

「疑われるのが怖くて、やったの?大切な親友が殺されたっていうのに…?」

唯はじっと、レオンの方を見つめた。

「確かに、それもあった」

レオンは頭を抱える。

「疑われるかもしれない、正体がバレるかもしれない。でも、それ以上に、稜夜がオルトスだとバレるのが怖かったんだ」

「えっ?」

「稜夜は、唯のことを、昔からずっと好きだったから」

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