Symphony V
「あの…写真か何か、無いですか?できれば古いやつ」

唯が呟くと、村儀は首を傾げて聞いた。

「なんの写真だ?用意できるものならするが」

「あ、あの。稜夜先輩のご両親と、それから、葵夫妻と娘のまゆさんの写真です。できるだけ、古いのがいい」

「…わかった。探してみよう。たぶん、すぐに見つかるはずだ。彼らなら、何度か雑誌で特集を組まれたことがあったはずだからな」

唯は頭を下げた。

「なにか…わかったの?」

佐藤に聞かれて、唯は少し戸惑いがちに頷いた。

「もしかしたら、私、葵家の娘だったかも知れないんです」

唯の言葉に佐藤と村儀は顔を見合わせた。

「思い出した記憶の中で、私は『まゆ』という少女を姉と慕っていて、それから、まゆの代わりに、どこかへ連れて行かれたみたいなんです」

一瞬、あたりがしんっと静寂に包まれた。

「ただ、親らしき人物の名前は覚えていないから。写真を見れば、思い出すかもと思って」

唯の言葉を聞いて、村儀は佐藤に何かを言うと、佐藤は頷いて、その場を離れていった。

「いつごろのことかわかるか?」

聞かれて唯は首を横にふった。

「そうか…わかった。とりあえず、お前たち2人はホテルまで俺が送っていく。佐藤が写真を集めてくるまで、情報を整理したい。…休ませてやりたいところだが、協力してくれないか?」

村儀が頭を下げる。
唯とレオンは、その姿に驚いた。

「あ、あの!頭なんてさげないでください!私だって真相を知りたいんです。…協力させてください!」

唯の言葉に頷くレオン。
村儀も真剣な表情で頷いた。
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