Symphony V
「帰ってくれ。これ以上、何も話すことなどない」

そういうと、稜輔は3人に背を向ける。

「なっ!話はまだ終わって」

「帰ってください。これ以上はあなたがたを訴えますよ!」

稜輔の隣にいた秘書に、部屋の入口へと追いやられる。
唯はちらりと稜輔の方を見た。


真っ青な顔をしてる。
息子が蜘蛛に殺されることが、そんなにありえないことだったの?


とその時、ふと、稜輔が何かを呟いた。


「え?」

「ほら!早く出て行ってください!」


バタンと扉を閉じられる。
佐藤は小さく舌打ちをした。

「あと少しだったのに!」

悔しそうに暴れる佐藤を、レオンがまぁまぁとなだめていた。



今、確かに。


唯は稜輔のかすかに呟いた言葉を思い出す。


【ヨウスケ】


先輩の呟いた名前と、同じ名前。
一体。これは…


どういうことなの……?
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